教授の挨拶

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信州大学医学部 内科学第一教室
教授 花岡 正幸

信州大学医学部附属病院呼吸器・感染症・アレルギー内科では、呼吸器、感染症、アレルギー疾患をオールラウンドにカバーし、最先端の医療を提供できる態勢を整えています。当科のスタッフは、内科をはじめ、呼吸器、感染症、アレルギー、腫瘍、呼吸器内視鏡、睡眠呼吸障害など、いずれかの認定医・専門医を取得しており、当科は各学会の教育病院・研修施設に指定されています。
外来診療では、毎日の新患担当医を配置し、初診患者の受け入れに万全を期しています。特殊外来としては、無呼吸外来、禁煙外来、および登山者検診外来を開設しています。特に禁煙外来では、2007年の開設以降450名余りの治療を行い、その成功率は77.1%に達しています。

附属病院東6階病棟は、呼吸器外科と共同で「呼吸器センター」として運用し、急性期の呼吸管理から慢性期の在宅医療まで幅広く対応できるよう、態勢を整えています。内科と外科が一体となった診療を行っており、外科的治療が必要な症例にも迅速な対応が可能となりました。また、急性期の呼吸管理では、高流量酸素療法(ネーザルハイフロー)や非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)など、より低侵襲で負担の少ない治療を心がけています。

当科で行っている3大検査は、呼吸器内視鏡検査、精密呼吸機能検査、そして右心カテーテル検査です。呼吸器内視鏡検査では、超音波内視鏡によるガイドシース法や、CT画像を再構成するバーチャル・ナビゲーションシステムを導入しており、診断率の向上を図っています。
CTガイド下の内視鏡は国内有数の実績を誇っており、透視下で確認が困難なすりガラス様陰影の診断に威力を発揮します。さらに、気管支内腔の腫瘍焼灼や切除、狭窄部位に対するステント留置など、内視鏡的治療も精力的に行っています。また、局所麻酔下胸腔鏡検査は、低侵襲で行うことのできる胸腔鏡検査であり、原因不明の胸水や悪性中皮腫の内科的診断に威力を発揮しています。
精密呼吸機能検査は日本有数の体制を整えており、肺気量分画、肺拡散能測定を始め、呼吸抵抗・気道抵抗測定、気道可逆性検査、気道過敏性検査、運動耐容能検査、呼気濃縮液測定、呼気一酸化窒素(NO)濃度測定など、多様な精密検査を行っています。

2011年からは血管造影室にて右心カテーテル検査の定期運用を開始し、肺高血圧症の診断・治療に積極的に取り組んでいます。呼吸器内科で右心カテーテル検査を行っている施設は少なく、需要は高まるばかりです。これからも、高度先進医療の導入を図りつつ、地域の病院やご開業の先生方と密接に連携し、地域医療を支えて参ります。

さて、2020年4月現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るっており、心配は尽きないと思います。信州大学医学部附属病院呼吸器・感染症・アレルギー内科では、この緊急事態を克服すべく万全の診療体制を敷き、大学病院でしかできない超重症例の治療を行っています。
引き続き、皆様のご期待に応えるよう、COVID-19診療の第一線で奮闘して参りますので、ご理解、ご支援のほどよろしくお願いいたします。