呼吸器センターの紹介
呼吸器センター
信州大学呼吸器センター(Shinshu University Respiratory Center; SURC)は、呼吸器疾患の最先端の医療を提供する事を目的に平成19年(2007年)9月に信州大学医学部附属病院の東6階に開設されました。長野県の呼吸器疾患の中心的なセンターとして地域に密着し先進的医療を実践しています。
肺癌に対する集学的治療
1990年代に循環器内科領域の診療が大きく進歩し、心疾患・脳血管疾患による死亡が減少する一方で、日本人の死因の一位は癌となりました。特に男性では、肺癌が、癌の中でも死因の一位を占めています。
呼吸器センター設立の背景として、当時、がん対策基本法が施行され、癌治療の「均てん化」が標榜される中で、肺癌診療のさらなる充実が求められていたことが挙げられます。
当教室は、肺癌診療に関しては、以前から呼吸器外科医、放射線科医、病理医を加えた合同カンファレンスを経て、最適な治療を選択しておりました。センター化により、診療が、より有機的に迅速に行われるようになりました。
当教室は、肺癌化学療法の全国的な治験・臨床研究にも積極的に参加しています。
呼吸器外科は、年間100例以上の手術をおこなっています。肺癌領域に関しては、胸腔鏡下手術を主体とし、低侵襲な治療をおこなっています。さらに、呼吸機能温存のための縮小手術も積極的に導入しています。縦隔腫瘍を中心にRobot支援下手術もおこなっています。
呼吸器疾患全体における内科・外科の協同体制
肺癌に限らず、難治性感染症(胸膜炎、膿胸など)、気胸など、内科・外科の両診療科が関わるべき疾患はたくさんあります。センター化によって、これらの診療がより適切に行われるようになりました。看護師、薬剤師、理学療法士などの専門性も高まり、他職種による協力体制の充実を、今後もさらに高めていくよう努力してまいります。
先端医療への取り組み
前述のように、呼吸器外科は、胸腔鏡下手術、さらにRobot支援下胸腔鏡下手術を積極的に行い、小さな手術創で出血の少ない手術を心がけています。
当科では、気管支内視鏡検査において、すでにガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)をルーチン化しており、以前よりも診断率を向上させております。これは、X線透視に加えて、極小の超音波プローブを併用し、病変への到達を確認する方法です。さらに、最近は、血管内視鏡を用いて、末梢肺野の病変を直接観察することも試みています。
また、感染症の診断・評価に、気管支鏡下でマイクロサンプリング法を積極的におこなっています。これは、ワイヤーの先端にポリエステル製のファイバーロッドを装着したブラシの一種を用い、気道内に存在する細菌を濃度を変えることなく正確に定量的に採取する方法です。従来は経験に頼る部分が大きかった呼吸器感染症に対する治療を前進させたものと考えられます。
気道病変の病態、解析においても、様々な先端医療を導入しています。Impulse oscillation法による呼吸抵抗値測定、およびnegative-expiratory pressure(NEP)法による呼出時のflow-limitationの測定、呼気中一酸化窒素濃度測定などの、安静換気時に気道閉塞や気道炎症が評価可能な新しい方法を取り入れています。
今後は、呼吸器集中治療室(Respiratory Care Unit; RCU)の設立も目標としており、呼吸器センターのさらなる充実のために一層の努力をしてまいります。
呼吸器センターのロゴ
呼吸器センター内の様子
呼吸器センターホームページ
下記の画像のリンクから御覧ください。