一般市民の皆様へ
2020年初より、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が世界的な流行を見せており、長野県・松本地域も例外ではありません。感染拡大防止のために、当教室でも診療・教育活動における制限が必要な場合があり、皆様にご迷惑をおかけしていると存じます。
この感染症について現在までにわかっている一般的な情報について掲載いたしました。また当学部附属病院からの本件に関する対応情報、関連学会である日本感染症学会からの声明もご参照ください。
コロナウイルスについて
オミクロン株の特徴
オミクロン株とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2022年4月現在、全国で第6波が一時収束したかにみえましたが、そのリバウンドが警戒されています。2021年11月に南アフリカで初めて報告されたオミクロン株(BA.1.1.529)が現在は主流となっており、更により複製しやすいとされるその亜型(BA.2)が流行しています。従来のウイルス株より潜伏期間が短く重症化リスクは低い可能性、中和抗体が効きづらい(中和抗体に対する感受性が低い)可能性が報告されています。
オミクロン株の感染から発症までの期間
日本の疫学調査では、オミクロン株の潜伏期間は約3日間、曝露から7日以内に発症する者が大部分であると報告されています。
(国立感染症研究所の疫学調査)
オミクロン株による重症化リスク
2022年2月現在、日本では一般に以下の項目が重症化リスク因子としてあげられています。
今後の研究結果に応じて変更されることがあり得ますが、基礎疾患の適切な管理、禁煙をはじめとした生活習慣の改善が勧められます。
主な重症化のリスク因子
重症化のリスク因子 | 評価中の要注意な基礎疾患など | |
---|---|---|
|
|
|
コロナウイルスの構造とワクチンついて
細菌とウイルスの違い
細菌 | ウイルス | |
---|---|---|
大きさ | 数~数十μm | 0.1μm以下 |
構造 | 単核細胞生物 細胞質・細胞壁などからなる。 DNAは細胞質内に存在する |
タンパク質の殻と核酸からなる粒子。 細胞構造は持たない |
増殖 | 細胞がなくても分裂し増殖する | 自己増殖はできず、宿主細胞が増殖には必要 |
遺伝情報 | DNAとRNAの両方を持つ | DNAかRNAのどちらか しか持たない |
治療薬 | 抗菌薬 | 抗ウイルス薬 |
ウイルスの遺伝情報は、DNAかRNAのいずれかです(コロナウイルスはRNA)
コロナウイルスの構造
- エンベロープ(膜)のあるRNAウイルス
- 形状が王冠に似ている
エンベロープは脂溶性の膜構造(脂質二重膜)だから、石けんやアルコールで壊れる(消毒できる) スパイク蛋白は、ワクチン開発の標的となる。 |
イラスト:https://www.autodraw.com/share/LNDBXJ25SVK7
mRNAワクチンの仕組み
スパイク蛋白を作らせる部分に対応するmRNAを脂質の膜に封入
mRNAワクチンはオミクロン株についても効果が期待されています。
COVID-19ワクチンについては日本感染症学会のHPに定期的に提言がなされています。
長野県内の流行状況
医療関係者の皆様へ
治療法について
COVID-19への対応、薬物治療の考え方につきましては日本感染症学会のHPへ定期的にアクセスするなど、最新の情報をご参照下さい。
COVID-19に関する当教室からの報告
1. 体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とした重症COVID-19の症例報告
Ikuyama Y, Wada Y, Tateishi K, Kitaguchi Y, Yasuo M, Ushiki A, Urushihata K, Yamamoto H, Kamijo H, Mita A, Imamura H, Hanaoka M. Successful recovery from critical COVID-19 pneumonia with extracorporeal membrane oxygenation: A case report. Respir Med Case Rep. 2020 May 31;30:101113. doi: 10.1016/j.rmcr.2020.101113. PMID: 32523870; PMCID: PMC7261438.
2. 年齢・尿素窒素(BUN)・BMIを用いたCOVID-19重症化を予測するノモグラム
Goto N, Wada Y, Ikuyama Y, Akahane J, Kosaka M, Ushiki A, Kitaguchi Y, Yasuo M, Yamamoto H, Matsuo A, Hachiya T, Ideura G, Yamazaki Y, Hanaoka M. The usefulness of a combination of age, body mass index, and blood urea nitrogen as prognostic factors in predicting oxygen requirements in patients with coronavirus disease 2019. J Infect Chemother. 2021 Dec;27(12):1706-1712. doi: 10.1016/j.jiac.2021.08.009. Epub 2021 Aug 13. PMID: 34412984; PMCID: PMC8360991.