第32回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会に参加しました。

2020年1月にCOVID-19が日本で確認されて以降、Webでの学術集会や各種講演会には参加していましたが、長野県内に引きこもっていました。
2年10ヶ月ぶりに、千葉で開催された「第32回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会」に現地参加しました。他の施設ではどのような診療をしているのか、最新の話題は何か、などオンラインでもある程度は触れる事ができますが、やはり現地開催は熱量が違いました。

本学会のトピックの1つは「フレイル」でした。
このフレイルに関しては、原疾患の治療だけしっかりやっていれば良いというわけではありません。また、リハビリテーションで筋トレだけやっていれば良いわけでもありません。栄養の事も考えないといけません。これを主治医だけが全て勉強して対応するのは不可能で、多職種が連携したアプローチが必要です。

また、呼吸器リハビリテーションの現状と今後の展望について考えるセッションもありました。呼吸器リハビリテーションの診療報酬点数(Ⅰ:175点, Ⅱ85点)は心臓リハビリ(Ⅰ:205点, Ⅱ:125点)および脳血管(Ⅰ:245点, Ⅱ:200点, Ⅲ:100点)リハビリ, 運動器(Ⅰ:185点, Ⅱ:170点, Ⅲ:85点)リハビリと比べて低く設定されています。そのため、経営者の立場からは呼吸器リハビリをやるよりも心臓や脳血管, 運動器のリハビリを行った方が利益になります。これまで、私は呼吸器リハビリが少ない原因は収益面の問題と考えていました。確かに収益面の課題もあるのですが、そもそも医師が呼吸器疾患に対してリハビリをオーダーしてくれないというのが一番の問題だそうです。私は医者になってから呼吸器疾患の患者さんが入院したら、PT(理学療法)とOT(作業療法)、何ならST(言語聴覚療法)もセットでオーダーするようにしていました。癌患者さんでは動ける人も多いのでリハビリをオーダーしない事もありましたが、化学療法目的の短期入院であっても、現在の身体機能の評価と、弱らないための取り組みの指導を行うなどリハビリテーションを行う意味はあります(この場合、がんリハになりますが)。長野県内の呼吸器内科医の皆さん、是非リハビリのオーダーをしましょう。

学会に現地で参加して、多くの刺激を受けて帰ってきました。COVID-19がなかなか終息しない中、学会1日目の夜恒例の多職種や他施設のスタッフと飲みながらざっくばらんにおしゃべりをする懇親会を開催することができなかったことは少し残念でした。
あと、学会場をせわしなく動き、企業展示ブースで2時間ほぼ全メーカーと話すなどしていたら、写真を撮るのを忘れてしまいました。文字ばかりのコラムですいません。

お詫びに会場の写真を載せておきます。
やはり現地参加の学会は有意義でした。今後も可能な限り参加したいです。
12月8日までオンデマンドで講演をみることができます。是非ご覧下さい。
オンライン参加登録サイト
http://jsrcr32.umin.jp/sankatoroku.html

市山 崇史

 

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