学会のWeb化の功罪

新型コロナウイルス感染の影響を受け、集会の開催や人流の増加による感染拡大を考慮し、大小含め多くの学会活動はWeb化されました。従来、長野県からの参加は移動など負担がありましたが、これは大幅に軽減され、気軽に参加が可能になりました。同時に日常業務との境界線が曖昧になり、日々の診療や自身の研究関連の情報をアップデートすることを目的とする学会参加に集中できないなどの問題もありました。

2022年6月4日に日本内科学会第150回信越地方会が新潟県上越市にて現地とWebのハイブリッドにて行われました。2年ほど前から信越支部運営のお手伝いをさせていただいているため、現地で参加させていただきました。当教室からも2名の先生に発表していただき、立派に受け答えをされておりました。
Webでの参加人数が非常に多いのに対して、現地での参加の様子は一時期より多くなっているものの、感染流行前の会場からあふれるような「密」の状況はなく、発表者も半数ほどがWebでの発表でした。

地方会の位置づけとして、若手の医師および医学生の発表の場というものがあります。感染による施設内の取り決めもある中、仕方がないことなのですが、現地での発表や直接顔を合わせる聴衆が多くないことは残念なことです。高名な先生方の前で、時にやさしく、時に厳しい視線や質問を受けることはとても勉強になるからです。自身も10年ほど前に、ある学会の総会での講演で、手厳しい指摘に壇上で失神しそうになったこともありました。今でもあの状態に陥らないように準備をしています。

重要な機会の喪失は若手の医師自身も残念に感じていると思いますが、地方会を運営する先生方も危機的に感じております。ただ、ハイブリッド開催の利便性を一度経験してしまうと、二度と戻ることはできないだろうと考えられ、直接の発表の機会は意識的に作っていくしかなさそうです。まずは感染流行が一段落し、学会参加に抵抗がなくなる日が来てくれればと切に願います。

立石 一成

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