気管支鏡

2021年度の気管支鏡検査責任者をやらせていただいている野沢修平と申します。気管支鏡検査について書かせていただきます。
気管支鏡は呼吸器内科の代表的な手技であり、肺の病気の診断のために必須の手技になります。肺癌はもちろん、感染症やアレルギー疾患についても気管支鏡で診断されることが多いです。
呼吸器内科になって、気管支鏡を握るようになり、数年が経過しました。技術の進歩はとても早く、より高性能な気管支ファイバーが続々と発売され、また、気管支ファイバーだけでなく、新たな技術も開発されています。
今後新しい技術として当院に取り入れたいと考えている技術として、クライオバイオプシーを考えています。クライオバイオプシーは、クライオプローブを用いた生検のことで、クライオプローブは2017年に医療用機器として日本で薬事承認されています。クライオプローブの先端は金属で出来ており、内側に二酸化炭素を循環させ、ジュール=トムソン効果で最低-89℃まで冷却させます。冷却したクライオプローブを、気管支鏡を通じて接触させることで組織を凍結させ、凍結した部分を引き剥がして、検体を採取します。そうして得た組織は、従来の気管支鏡検体よりもはるかに大きく、肺癌であれば、その診断率も従来の方法で採取した検体よりも高いことが報告されています。実際に導入されることは決定していませんが、長野県内でクライオバイオプシーを導入している施設はまだなく、高度医療機関として、最新技術の導入に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
新技術を取り入れつつも、気管支鏡における合併症をできる限り出さない様にすべく、より一層の安全対策、教育等も並行して行っていきたいと考えています。

信州大学内科学第一教室 野沢修平

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