Webによる学会発表について

2020年は新型コロナウイルス感染症が原因で県をまたいだ移動が厳しく制限された年でした。1年を振り返ってみると呼吸器専門医試験で東京に1回行ったきりで、それ以外は長野県から出ることもありませんでした。その分、夏季休暇などは長野県内で一度も行ったことがないところを訪れたり、長野の魅力を再確認できたという良い点もありました。

またコロナウイルス感染症は学会にも影響を与え、延期や中止になった学会も少なくありません。そんな中、何とかして学会を開催しようという努力もあり、web開催による学会参加という新しい参加形態が出てきました。今年私が参加した第60回日本呼吸器学会学術集会、第5回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会はこの参加形態がとられましたので、利点と欠点を簡単に述べたいと思います。

まず利点ですが、

  1. 現地までの移動の負担がない
  2. オンデマンド配信によって、スケジュールが重複していたセッションも視聴可能
  3. 質問に対して時間的余裕をもって回答できる
  4. 満席など、会場環境を心配する必要がない

今回web開催になって特にこれはいいなと感じたことは2.でしょうか。今までは視聴したい講演があっても、タイムスケジュールが重なっていた時には泣く泣く片方の講演を諦めなければならないことがありましたが、オンデマンド配信によって、いつでも視聴したい講演を選択できるようになり、その心配はなくなりました(演題によってはリアルタイム配信のものもあり、その場合は諦めざるを得ない時もあります)。これは非常に画期的であり、例年以上にそれぞれの講演を落ち着いて視聴することができました。今後もこのオンデマンド配信は、コロナ禍が落ち着き、現地開催がなされるようになった後も続けてもらいたいと願っております。

一方欠点ですが、

  1. 配信環境によっては音飛び、画像の乱れなどがある
  2. 慣れが必要
  3. 学会特有の緊張感は味わえない

などが挙げられるでしょうか。いくつかの講演は音がずれていたり慣れていないと難しいかなという印象を受けました。また、学会で質問攻めにあって火だるまになることもないので学会独特の緊張感を感じることができないということも挙げられるでしょうか(味わいたくはないですが)。

現状では今後もしばらくはweb開催の学会が続くと思いますが、オンデマンド配信など良いところは今後も続けていただきたいなと思います。

後藤 憲彦

一覧へ戻る