国際学会への出席

新型コロナウイルスが国内でも拡散の徴候を見せる中、それに関連する話題かと思われた方も多いかもしれないが、今回はあくまでも通常の状況下での国際学会への出席についてふと思ったことについて私見を述べる。

 

自分が初めて国際学会へ出席したのは(「出席できたのは」という気持ちだったが)、大学院生3年の時だった。2004年のATS(オーランド)だった。大学院生として、当時当科で研究指導をされていた藤本圭作先生(現、信州大学医学部保健学科教授(検査技術科学専攻生体情報検査学)にご指導いただき、実験を行った。結果を国内の学会や研究会で発表し、論文化を考えた頃の発表だったと思う。国際学会には当時、自分よりも上の先生方で、研究をしっかりやっている先生方が発表していたので、ようやく自分もその端くれとして仲間入りできたかと思い嬉しかったことを記憶している。

当時の研究課題はヒトの気道上皮細胞培養してIL-13を添加し、その変化(気道粘液過剰産生)をみることであった。二日に一回の培養液の交換、毎日の観察、細胞の継代など細胞を維持するのに労力を要した。また正常細胞は継続的な継代が難しく、気道上皮細胞は数もそんなに沢山増えないためはじめの一年間は培養系を確立するのに時間を費やした。漸くコンスタントに研究できる様になった頃には大学院生も半分程度経過していたと思う。日中は病院の診療で手一杯のため、夜間一旦帰宅し、子供達を寝かしつけ、夜九時から一時くらいまで毎日研究をした。技術が全くなかった当時の私としては大変苦労して出した結果だったので国際学会に研究成果を発表できることは非常に嬉しかった。初めてのATSでPoster Presentationだった。英語でDiscussionだったが、当時は何のこと分からず自分の名前が呼ばれたのが分かるのが精一杯。その後は書いておいたAbstractを棒読みして終了。英語、英会話の重要性を肌で感じ、2005年頃から受け始めた英会話は現在も続けている。

 

最近は、研修の時期や大学院生の初期から、「経験を積む」ということで国際学会に上級の先生方と同行する医局員の先生も多い。それはそれで良いことなのだが、やはり最終的には自分で努力して成果を出した演題を携えて、自主的に学会に臨むようにしてもらいたい。今は金銭的なインセンティブももらえるし、自分から積極的に演題をだすようにしよう。まずは国際学会に出席し、海外の最先端の研究を直接見聞きし、自分の研究で論文を書いて学位を取得する。それから是非海外留学へも目を向けてもらいたいと思う。

2020年2月16日

安尾 将法

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