浦島太郎

木曽の辺りには「寝覚めの床」と呼ばれる場所があります。木曽川の花崗岩が水の流れで浸食されたことにより、不思議な美しい岩と川との景観を作りだしています。特急しなので通りかかりますと、寝覚めの床についてのアナウンスが流れ、しなのは速度を落としてその景色を見せてくれます。

ここには浦島太郎伝説が伝わっています。竜宮城から帰り、300年も経っていたため、故郷に知る人もいなくなり、諸国漫遊の旅に出た先で、寝覚めの床を気に入って過ごしたそうです。浦島太郎は竜宮城で得た知識を元に皆に仙薬を配ったとも言われております。一方で、竜宮城に行った夢を見て目覚めた場所とも言われているようです。

さて、私は育児休暇を経て、4月から久々に病棟での業務に復帰させていただきました。学会や学会誌で最新の治療に目を通していましたが、ただ見るのと実際に行うことの違いを感じております。浦島太郎のように、現世に戻った際には、時の流れに置いて行かれないようにしていたいものです。医学の進歩は加速しています。肺癌の治療薬はここ数年で目覚ましい変化を遂げております。本庶先生がノーベル賞を受賞された免疫チェックポイント薬もその一つです。今後もこのような医学の進歩により、患者様がより長生きできるような治療が出てくるに違いありません。浦島太郎の配った仙薬のように魔法のような治療が出てくるといいですね。

所 弥生

一覧へ戻る