インフルエンザ

今シーズンは12月上旬頃までは比較的気候が穏やかだったようにも思いましたが、年末年始から急激に気温が下がったと感じています。県内ではインフルエンザの患者数が増加してきており、先週インフルエンザ警報が発表されました。当院でもスタッフ・入院患者の間で感染者が増加し、21日時点で当科の病棟が入院閉鎖となりました。県内の他の病院でも感染者が増えているようです。県の統計を見ると、昨年度はここから急激に患者数が増加したという経過をとったそうで、一層警戒が必要と考えます。

近年はウィルスの増殖を抑えて症状改善を早める抗インフルエンザ薬の投与も一般的になりつつあります。代表薬であるタミフルは、10代の患者への投与時に異常行動を引き起こす恐れがあると指摘されていましたが、関連性が低いという調査結果が発表され、昨年から投与制限が緩和されました。また今まで発売されてきた抗ウィルス薬はノイラミニダーゼ阻害薬でしたが、昨年エンドヌクレアーゼ阻害薬という新しい作用機序による薬剤が発売されました。単回内服投与でコンプライアンスが良好になると期待され、また体内ウィルス量の減少などの治療効果も大きいという報告もあるそうです。ただ耐性ウィルスの発生が起きやすいという指摘もされており、まだ薬価も高いことから使用には慎重な意見もあります。

予防をしていても完全に感染を防ぐのは難しい面もあります。また予防接種をしていても感染をする場合もあり、症状が軽いことから自覚がない例もあるようです。発熱や関節痛だけでなく、胃腸炎症状で発症する場合もあるそうです。体調不良を自覚されたら、1~2日程度で検査を受けた方が良いかもしれません。

町田 良亮

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