アレルギー講習会に参加しました
2017年12月16,17日に開催された、日本アレルギー学会主催の第四回アレルギー講習会を受講してきました。
開催地はパシフィコ横浜、来年は大阪のようですが、これまでは毎回横浜で行われています。規模としては学会と同様ですが、学会と異なり、全てが教育的な講演や一般向け講演などです。そしておそらく、この講習会の目玉が、毎回開催され好評を得ている実技講習です。アレルギーの領域は内科、耳鼻咽喉科、小児科、皮膚科、眼科など領域が多岐にわたるため、各科で行われる専門的な実技を実際に勉強できる大変良い機会が与えられていると思います。
と言うことで、私も講演の聴講以外に実技講習を2つ受けてきました。一つは「吸入指導」、もう一つは「パッチテスト」です。
吸入指導は自分の科(呼吸器内科)の領域ですが、この12月から始動した長野県の医師-薬剤師間での吸入指導連携に携わる身として、知識の再確認と、吸入指導の先達(今回は東濃中央クリニックの大林浩幸先生が講師でした)の指導方法を吸収したいという思いから受講しました。実際に受講してみると、自分が知っているつもりで知らなかった吸入指導のポイントや、あまり普段使用していない吸入薬の指導のポイントなども聴けて大変有意義でした。
もう一つの受講科目であるパッチテストは、通常は皮膚科で行われている手技です。主に金属アレルギーや化粧品や毛染めなどに含まれている成分などに対する遅延型のアレルギーの原因を調査する目的で行われます。現在は、比較的頻度の高い原因物質がキット化されたパッチがあるため、それを使えば内科医である私でもやろうと思えば実施も可能です。もちろん実際の外来で私がパッチテストを行うことはないかと思いますが、実際にどのような検査であって、何を目的に検査をしていて、どのくらいの検査の負担(医療者側、患者側の)があって、どのように判定されているのかを知ることが大事だと思って参加しました。パッチテストの有用性、実際の手技を学ぶことができ、とても有意義でした(写真1,2)。
聴講形式の講演も出来るだけ呼吸器領域以外のもので、かつ自分の臨床にも役に立てそうな領域を中心に聴講しました。特に近年増加が著しく、重症の喘息を合併することが多い好酸球性副鼻腔炎・中耳炎について聴講してきました。近年、好酸球を増加させるサイトカイン(IL-5など)の働きを抑制できる薬剤が実臨床の場で使用可能となり、好酸球が増加する疾患の治療として有望ではないかということで注目されています。好酸球性副鼻腔炎・中耳炎も重症の喘息を合併することから、呼吸器内科でも同一の患者さんを診療していることもあり、重症喘息の治療において好酸球を低下させることが副鼻腔炎や中耳炎にも有効なのかどうかについては興味のあるところです。この結果が出るのはもう少し先ということでした。
聴講、実習ともしっかり料金も徴収されますが、それに見合った勉強ができたかなと思って帰ってきました。
安尾 将法