国際学会体験記

第22回アジア太平洋呼吸器病学会議
APSR2017 (The 22nd Congress of the Asian Pacific Society of Respirology)

オーストラリア/シドニー

Asian Pacific Society of Respirology(以下APSR)の参加許可を頂くまでパスポートの取得方法すら知らなかったこの私が花岡教授を始め様々な方の御支援・御尽力により再び生きて日本の地を踏むことが出来たことを心より御礼申し上げます。
今回は当コラム欄をお借りしてAPSR参加までの道程と参加した感想について記したいと思います。
書類といえば市役所!という短絡的思考でパスポートを間違えて松本市役所へ申請しに行った(30分くらい市役所内をさまよった)話は墓場まで持っていくとして、学会への参加申請や海外旅行のイロハなど同期の田中先生には多岐に渡って御助力頂きました。無事に出国し、オーストラリアはシドニーの地を踏むことが出来たのは彼のお陰でした。本当にありがとう。
到着したシドニーは初夏の気候で空は快晴と好調な出だしとなりました。現地到着から学会までは余暇があったので堀内先生にブルーマウンテンズ国立公園やオペラハウスなどの観光スポットを案内して頂きました。オーストラリアは右ハンドル車が主流だったりトヨタ、ホンダ車など日本車が飛び交っていたりと海外にいながら日本を感じる一方で、空や海の青さや山の広さ、建造物の大きさ、色調なども日本で見るそれとは全く異なっているのが印象的でした。横断歩道が赤信号に代わるまでの時間が異様に短く、青信号時も日本と違って導火線に火がついた時のような不穏な音が鳴るのはどうにかした方がいいと思います。
APSRでは肺高血圧症のセッションにおいて花岡教授が座長として指揮をとられ、オーストラリアや中国などの先生方を交えて活発な議論が行われました。肺高血圧症の分野は疫学的調査から病態生理的なアプローチまで様々な視点での研究が各国で行われており、国際的な重要課題であることを実感できました。また、折に触れて花岡教授や堀内先生から医学的に重要な点に関して解説を頂きながら有意義に学習することができました。肺高血圧症以外にもPeter Barnes先生によるCOPD治療の歴史・エビデンスの解説やIPAF症例に対するPSL+MMF治療の効果、クライオプローブを使用した生検に対する症例報告など様々な分野で枚挙に暇がないほどの新たな発見があり大変刺激を受けました。
APSRは洋の東西南北を問わず様々な国の医師が自由に議論できる舞台となっていました。まだまだ見習いの毎日ですがアジア・太平洋の同志に刺激を感じてもらえる何かを一つでも発信できたらな、と思う今日この頃です。

正村 寿山

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