第39回 日本呼吸器内視鏡学会学術集会

2016年6月23、24日に第39回日本呼吸器内視鏡学会学術集会が名古屋国際会議場で開催されました。自分の発表を含め2日間参加してきました。

呼吸器内視鏡学会学術集会はいわゆる気管支鏡の国内最大の学術集会です。参加者の大半は呼吸器内科医(腫瘍内科医含む)、呼吸器外科医と考えられます。最近は気管支鏡の進歩も著しく、10年前の気管支鏡事情とは全く異なりますが、本学会はそのような最先端の技術のみではなく、若手、研修医などの教育的セミナーや講演なども昔から多く取り入れていて、内視鏡のメッカである日本、もちろん気管支鏡のメッカでもある日本において、技術の均てん化、若手教育という面からも大きく貢献している学会であり、学術集会であると思います。

今回の学会で目についたのは、喘息に対する気管支鏡サーモプラスティ、EGFR-TKI耐性後のリバイオプシー、レーザー共焦点内視鏡などに代表される新技術などの報告です。重症喘息患者を対象とした気管支平滑筋焼灼による喘息症状改善を企図した治療が日本でも保険適用となり、症例の集積がなされつつあります。治療後によって改善しやすい患者とそうでない患者がいるが、どのような症例が効果的なのかがまだ不明であること、一生に一度の治療であること、治療の合併症について情報がまだ不足していることなど問題点も多いですが、重症喘息の治療方法の一つとして当院のような基幹施設では行うべき治療と思われました。リバイオプシーについては、原発巣よりもリンパ節を含む転移巣でT790M変異が陽性になる確率が高そうであること、血液から遺伝子検査を行うリキッドバイオプシーの有効性がかなり現実的であることなど、興味深い話題が多く提供されていました。新技術に関しては様々ありますが、近年普及している末梢超音波ガイドシース法(EBUS-GS)で現在我々がみている末梢肺野の小結節影の超音波画像を超えて、その部分やより末梢の画像をレーザー共焦点内視鏡やOCT(オプティカル コヒーレンス トモグラフィー:光断層撮影)を用いて観察しようという試みが多く発表されていました。我々も臨床研究として血管内視鏡を気道に挿入し、より末梢の情報を得ようとしていますが、このような研究は最近のトレンドの一つであると考えられました。

自身が発表した内容は、当科で行っている内視鏡的インターベンションの前後で呼吸機能検査を行った際、通常の呼吸機能検査(スパイロメトリー)よりも強制オシレーション法(モストグラフ®、マスタースクリーンIOS®)の方がより精度が高いだろうというものです。スパイロメトリーの結果は患者さんの努力に依存しますので、中枢気道狭窄のような呼吸困難感がある状況で、最大努力を要求されるスパイロメトリーと患者努力非依存性の強制オシレーション法とでは、強制オシレーション法の方がより有用であることを示したものです。もう少し症例を集積する必要がありますが、強制オシレーション法の有用性を中枢気道病変において示した報告は少なく、その有用性を報告していきたいと考えています。

名古屋と言えば、きしめん、ういろう、手羽先、味噌煮込み、どて煮、エビフリャー、味噌カツなどいろいろな名物がありますが、今回宿泊したホテルの近くにあったお店で手羽先、どて煮と“名古屋赤味噌ラガー”(写真)を賞味してきました。

安尾 将法

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