呼吸器内視鏡学会学術集会に参加しました

統括医長の安尾です。6月11日~12日、新宿の京王プラザホテルで開催された日本呼吸器内視鏡学会学術集会にて研究発表をしてまいりました。今回の報告は、私の臨床研究のテーマの一つである、呼吸器内視鏡(気管支鏡)に関するものです。呼吸器内科医ならだれでも外来で遭遇する末梢肺野の小結節影に対する超音波内視鏡+ガイドシース法を使用した200症例の検討について報告してきました。呼吸器領域のなかでも気管支鏡に関する学会のため、規模はやや小さめの学会です。

今回特に感じたのは、肺癌領域の臨床・研究に積極的に取り組まれていらっしゃる先生方を中心として、リバイオプシーの必要性・重要性を強調されていたことです。肺癌の診療もかつてのように組織型と病期が判れば治療は同じという時代ではなく、組織型や遺伝子変異を調べてその情報によって治療法が変化する時代になっています。特に近年、ある分子標的薬が無効になるメカニズムが解明されつつあり、その無効メカニズムに対して更に作用する分子標的薬が登場しつつあります。すなわち、最初の分子標的治療が無効となった時点で、無効メカニズムを打ち消す薬剤が使用できるかどうかをその時点でチェックする必要が出てきました。その時点で再度組織を採取しなくてはならない(=リバイオプシー)の必要性がすぐそこに実地臨床にも迫ってきているのです。

そのほかは、我々も検討していますが、近年進歩してきた超音波内視鏡やバーチャル気管支鏡ナビゲーションにおける、更なる診断率向上の取り組みについても多くの施設が行っていることが判りました。また、我々の施設における気管支鏡インターベンションの師といえる、東京医科大学の古川欣也教授による気管支鏡インターベンションの教育講演は大変参考になりました。この場を借りて、古川欣也先生には深謝申し上げます。

どの領域も最先端はそうだと思いますが、呼吸器内視鏡の診断、治療も日進月歩です。最新の情報を元に診療を行い、より良い内視鏡診断、治療を目指していきたいと思っています。

信州大学内科学第一教室 統括医長 安尾 将法

市山崇史

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