第90回日本感染症学会総会・学術講演会に参加しました。
4月15日、16日に仙台で行われました第90回日本感染症学会総会・学術講演会に参加してきました。
当教室よりは大学院生の小坂充先生が「非HIV患者におけるニューモシスティス肺炎に対するST合剤投与量の検討」という演題でポスター発表を行いました。HIV患者におけるニューモシスティス肺炎と異なり、非HIV患者におけるニューモシスティス肺炎は適切なST合剤の投与量が定まっていない現状であり、本研究ではST合剤投与量で予後に差があるかを後方視的に解析していました。結果としてST合剤投与量が少ないと生存率が低い傾向にありましたが有意差はなく、今後の症例の蓄積が待たれます。
本学会のテーマは「One Health ヒト、動物、そして環境 ~感染症のトータルマネジメントをめざして~」と題されており、ヒトの臨床に直接関わる演題以外に、人獣共通感染症の話題や、環境に関する演題も多く発表されました。印象深かった講演としては東京大学生産技術研究所 加藤信介先生による空気感染対策の話(ヒトはどこの空気を吸っていると思いますか?鼻の周りの空気ではないのです!足下の空気が体温により暖められ、上昇気流となりそれを吸っているのです)や、国立感染症研究所 遠藤卓郎先生によるレジオネラ対策の話(温泉の循環パイプの複雑さ、そしてその消毒の困難さは衝撃的でした)などがありました。
エボラ出血熱、鳥インフルエンザなど世界的に話題となっている感染症の講演もあり、普段自分の行っている臨床や研究だけでは接することのない話題であり、非常に新鮮でした。
牛木 淳人