呼吸器内科をアドクリで回って

呼吸器内科を選択した理由は2つあります。1つ目は肺病変を通じて多様な疾患・病態を学習すること、2つ目は胸部の聴診能力の向上、です。“The Lung as a Mirror of Systemic Disease.”という言葉が象徴するように、膠原病、感染症、アレルギー性疾患、循環障害等様々な疾患が肺に影響を及ぼします。このことは胸部画像所見や呼吸機能検査の適切な読解力が、その患者の病因・病態を把握につながりうるということを示唆していると考えます。我々、医学生は講義で呼吸器を学習しますが、系統的に根拠を裏付けて胸部画像を読み解き、背景に存在する病態を理解することができる人は少ないと思います。自分もそのうちの1人であり、アドクリを通じて少しでも上記の能力を習得・学習し、呼吸器という観点から多彩な疾患を修学したいと思った次第です。アドクリでは数人の患者さんを受け持たせて頂きました。担当患者さんの身体診察・面接を行い、鑑別疾患や画像所見、治療法等を考察するということを通して、担当症例のみならず、他疾患の知識も身につけることができたと思います。自分は自然気胸と特発性器質化肺炎の患者さんを受け持たせていただきました。どちらの疾患も一般的に治療反応性が良好であり、前者はドレーン留置、後者はステロイドにより急激に改善する様子が、聴診上の呼吸音のダイナミックな変化として現れ、治療効果を肌で感じることができた点は非常に悦ばしいことであったと思います。また、担当患者さん以外も、チームや研修医の先生の回診に相伴させて頂いたり、連日開催されるカンファレンスにて、他グループの患者さんの疾患や画像所見を傾聴したりと、充分に学習する機会に恵まれていました。呼吸器内科のアドクリを終えてみて、現在は静かな充実感に満たされています。

第一内科の先生方にはご多忙の中、私の質問・疑問に丁寧に答えて下さり、また、回診の際には患者さんについて詳細に説明して頂き、教科書的な知識では理解し難いエッセンスや実臨床的な知識を沢山教えて頂きました。丁寧にご指導して頂いた知識や技術を忘れずにさらにそれを発展していけるよう、より一層学業に励んでいきたいと思っています。

信州大学医学部医学科 6年 占部 秀典;東京都出身

市山崇史

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